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レーザー、放電、あるいは放射線などにより液相に高いエネルギーを注入すると、加熱や光照射とは異なる反応が引き起こせることから化学、物理、生物、そして材料など様々な分野で注目を集めている。また、気相や大気下で発生するプラズマとは異なり、液相ならでは特徴を生かした材料合成やレーザー加工への応用が可能であることが見出されてきた。特に液体中の固体原料に高強度ナノ秒レーザーを照射する、液中(液相)レーザーアブレーションは、添加剤などを必要としない新しい金属ナノ粒子作製技術としてこの10年国内外で研究が非常に活発である(例えば Conference on Advanced Nanoparticle Generation and Excitation by Lasers in Liquids (ANGEL))。さらに、近年、液体そのものへフェムト秒レーザーを照射することで有機化学的には合成困難な化合物が生成することや、液体中での放電プラズマによりヘテロ原子を導入したグラファイト材料(燃料電池の触媒として有望)が合成できることが報告されている。
 しかし、プラズマによる高密度・高エネルギー反応は著しい非平衡状態にあるために、その物理・化学プロセスについては様々な議論がある。これまで様々な有用物質の生成が報告されたことをうけ、液相高エネルギー化学反応の基礎過程の解明、そして後続化学反応の制御が強く望まれている。高密度エネルギーの注入、高密度反応活性種(溶媒和電子や水酸化ラジカル等)との反応、さらには競争する多光子反応や超高温・高圧非平衡状態における反応の解明には光化学、物理化学、プラズマ科学、材料科学などの関連研究分野に属する研究者の分野横断的な協力が必要である。
 平成23年6月に設置された新領域研究グループ「液相高密度エネルギーナノ反応場」では液中(液相)レーザーアブレーションによるナノ粒子生成を中心に活動を行い、この分野における日本人研究者の先駆性、高い研究クオリティーとアクティビティーが世界的に認知されている(例えば ANGEL2014 in 松山)。
 本研究グループでは、レーザー、放電、あるいは放射線など様々な手法により液相で誘起した高エネルギー化学反応そのものを物理化学的、分子論的に掘り下げて理解することを目的とし、新規化学反応・物質生成・材料合成へとつながる研究分野と発展させることを目指す。

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